今ふたたび、そばの味革命コラム

Column

真そばの味研究所

頂きました~・コロナ禍で絶賛「初めての味」・「大満足」

未だ未だ・・・新型コロナウイルス感染防止対策の緊急事態宣言が続いていたある土曜日のことです。

15席あったテーブルを9席に減少・・・9つの窓とドアを開けて・・・感染防止対策です

新人パートさんが張り切ってくれています。
予想に反して、この日は忙しい日でした。
息を切らすように厨房に戻った新人パートさんが、女将のチャーボーに話し始めました。
「そばを持って行く度に『こんな美味しいそばを食べたことがない。こんな味は何処にも無い。初めての味で美味しい・・・』と言われるんです。『ありがとうございます』と答えましたが、私が良い気持ちになっていても良いんでしょうか」と。
チャーボーは「いいよ・いいよ。それでいいよ。みんなにも、どんなことにも、女将のつもりでやって欲しいって言ってるからお願いね。大将は、厨房ばっかりやで、お客様が感想を言われたら伝えてやってね。そばを少しでも美味しくしたいと努力してるから、今みたいな話を聞いたら、大喜びするよ。ねぇ・マーチン嬉しいでしょう」と。

江戸そば流とは真逆・こんな蕎麦粉がベストです

営業が終わり・片付けも終わって・パートさんが帰宅し、翌日の準備をしていたときです。
1本の電話が。
「定休日、教えて下さい」。
「ありがとうございます。毎週・・・」
「月・火、でしたっけ?」
「ハイそうです。来週も、火曜日が祭日ですが、お休みを頂きます。宜しくお願いします」
「知ってま~す。チョット確認したくて電話したんですが、実は、今日も食べさせていただきました。本当に美味しい。毎回大満足しています。帰ってきたばっかりなのに次いつ行こう?と考えているんです。長くやって下さいね」
「ありがとうございます。素材選びから粉の挽き方、そばの打ち方、少しずつ変えてきたらこの味になってきました。それを感じて貰えたこと、とっても幸せです。励みです。又顔晴りま~す」
「大満足です」
と電話が終わりました。

真そば流・そば作りの看板を作りました

真そば流そば作りの看板を作りました。

この日の2つの出来事は、飲食店をターゲットを絞った様な今回の緊急事態宣言下で、本当に有り難いことです。
が、ボク等は・・・他店(よそ)のそばを食べに行かなくなっています。
これまで、他店のそばを食べに行くときは、いつも、当店(うち)より美味しいそばが食べたい!と出掛けるのですが、「江戸そばの味だね」と帰って来ます。
日本中のそばの味を美味しく変えた・江戸そば流、今や全国制覇です。
そばが美味しくなるそば打ちの技法は、江戸そば流と言われ、江戸時代に出来ましたが、電気・ガス・水道が完備された第二次世界大戦後に、飛躍的に美味しくなって来ました。

電気・ガス・水道の全国普及と電動石臼の普及がそばの味を変えました。

そば打ちも、自家製粉が復活し、電動石臼ばかりでは無く、昔ながらの手引きの石臼も現れ、味に幅が出てきました。
これらのこともあって、確かに美味しい・・・ですが、本日のお客様ではありませんが、「満足」と納得出来る味ではないのです。
更に美味しく・もっと美味しく・・・と工夫を重ねると、素材選びの方法から、江戸そば流とは真逆の方向に向いています。
例えば、江戸そばの殆どが使用する原材料・蕎麦の実は「剥き実」と言って、蕎麦の実の外皮を剥いた実が好まれています。
理由は・・・江戸そば流の発展段階で、外皮のままの製粉では、付着する汚れを完全に取り除く事は不可能で、そばの色が黒くなります。
「ゴミを食べさせない!」と、そばを美味しくするために外皮を剥ぎ取る・この技法を導入したのです。
外皮のまま石臼で挽いたそばが美味しいのを「魔物が棲む」と言っていました。
確かに・・・剥き実を使ったそばは、味気ないのです。
昔から「魔物が棲む」と言われたものは、外皮と種皮の間にあるアリューロン層に発芽酵素があり、これを挽き込むことで、2味も3味もコクが出るのだ!と仮説をたてています。
そばDa迷人の作るそばは、あの色です(食べて下さったか方しか分かりませんね?)が皮付きのまま石臼に(しかも、今主流の挽き割り工程を経ないで、そのまま)投入しています。
玄蕎麦の選び方も・・・真逆です。
最近では、外皮を剥いて緑色した蕎麦の実が好まれる傾向にあります。
理由は、そばになったときの見た目の綺麗さです。
「甘い」と理由付けされることがありますが、これは違います!。
そばの甘さは、胚乳部分のでんぷん質が茹でられてアルファー化(糊化)し、唾液と触れあって糖化作用が行われて感じる甘さが、そばの美味しさを決める甘味なんです。
砂糖の様にガツ~ンと来る甘さは、そばにはありません。
江戸そばで言う、喉ごしの良さ!とは、噛まずに・かろやかに手繰ったそばが、爽やかに咽喉を駆け下りて、飲み込んだ後に、唾液と触れあって糖化作用の行われたアルファー化したそばデンプン質の持ち味が、喉の奥から込み上げて来る・ほのかな甘さ!、これが、そば特有の喉ごしの良さと言って好まれた訳です。
緑色した蕎麦の実は、完熟ソバではありません。
未熟状態で刈り取ったソバの特徴です。
他にも・・・手刈り天日干し!と言う耳からの響き、いかにも美味しそうではありませんか。
しかし・・・そばDa迷人は賛同できません。
開店早々の頃、茨城県の現在は常陸大宮市に住む知人から、手刈り天日干しのソバを仕入れていましたが、状態が悪すぎて、今は、同じ茨城県の耕作放棄地で大々的(大型機械で)にソバ栽培をする株式会社の農家さんから、この常陸秋蕎麦を仕入れています。
理由は簡単です。
手刈り天日干し!を強調しますが、殆どが機械化していないだけ?!。
彼は、ボクの揃えている器具(乾燥度を測る水分計や畑の土壌Ph測定器)すら持っていないのです。
仕上げは・・・当然、感ピューター頼りです。
消費者受けは、間違いなく「手刈り天日干し」ですが、味作りには、やっぱり「機械化」の機具使用が欠かせません。
そばの味を更に美味しくする・真そば流の考え方、未だ未だありますが、取りあえず・・・ここでは、以上で割愛です。

霜に2回当てて・・・完熟を収穫し、この日だけでも天日干し

手刈り天日干しに勝るとも劣らない収穫時の工夫・真そば流ソバ栽培の一風景です。

こうした工夫の上にできあがってきた味を「大満足」と評していただけたこと、感動の喜びです。
そして・・・。
只今・そばの里深萱ふ~どは開店20年目。
ソロソロ・・・コロナの収束ではありませんが、ボクは今、日本男児の平均健康寿命到達の時、人生の終焉を考えなくてはなりません。
こうした最高に嬉しい言葉を胸に、真そば流の完成を急ぎ、後継委譲の方法探しを始めることとします。
もう暫く、顔晴りま~す。
そばDa迷人拝

夢とそばを楽しむ会

Meeting to enjoy dreams & soba

そばで日本を健康に!&日本を真の先進国に!と楽しい夢を見る会です。
会長さんや会計さん…お偉いさんは存在しません。いるのはそばの里深萱ふ~どのオヤジ・そばDa迷人が務める“用務員”さんだけ。
とにかく楽しい夢を描きましょう。