今ふたたび、そばの味革命コラム

Column

真そばの味研究所

充実の古古蕎麦が、新蕎麦に勝る!

12月29日(日)、坂祝産の新蕎麦と2年前の蕎麦(古古蕎麦?・2017年産)、いつものブレンドそば(3種混合の古蕎麦)の3つを食べ比べる会(今月2回目)を開催しました。


この日は…、実は「新そば」の仕上がりが最高に良く、反対に古古そばの出来が、最悪となってしまいました。
これでは…、今日は新蕎麦に軍配が上がる?と心配しながら始めました。
会の進め方の内容は、前回と同じです。
そばは、ブラインド方式で提供し「一番口にあったそばの番号」と「これが古古そばだろうなと推測する番号」を記入して、提出してもらうやり又です。
参加者は29名で、今回は全員が答えてくれました。
結果は…。
(安堵?・腕の未熟さは、大きな影響なし!))つまり、やっぱり一番美味しいと結果が出たのは「古古そば」でした。

29名中12名(41%)が古古そばを一番美味しかったと。

次は、新そばが9名で31%でした。
一番少なかったのは、ブレンドの古そばが8名で28%。

新そばは、古そば+古古そばに、今回もやっぱり、大きく水をあけられました

ここで、強調させてもらいたいことは、新そばが美味しくないわけではありません!です。
味は、新旧ではなく、素材にあり!です。

前回解説しましたが、この古古蕎麦は種用に残した充実したソバの実です。

最高品質(施肥作業を行い霜に充てて実入りを充実させた物です)なので、特に胚乳部分が最高に充実しています。
10割では、打ちずらくなりますが、味は2年経っても新蕎麦に勝る!と言う事が実証できた訳です。
でも、新蕎麦、決して不味くはありません。
しかし、新蕎麦神話は、昭和に入って、冷蔵庫が普及し、今では…温度と湿度まで管理できる穀物用専用冷蔵庫が普及しているのです。この冷蔵庫、最高の品質の素材の持ち味、その状態をかなり長持ちさせてくれています。
そば好きの皆さん、そば屋が閑散期となった時期に、売り上げ増加を期待した「新ソバ入荷」に騙される事!、そろそろ卒業しませんか。

もう一つ重要なのは、偽物の新そばを取り締まる方法がありません

つまり「新そば100%」と言わない限り、「新そば」の文字は、簡単に使用できるのです。
ハタマタ、「新ソバ入荷」なんて文字は、新蕎麦を使ってなくとも、入荷をPRしているだけなんです。
新そばの味は、自分の口で試す時期に来ていますね。
そばDa迷人は、年間を通じ「新そば」より「真そば」と考え、イエローハットの相談役・鍵山秀三郎先生に教えていただいた「見えない所で手を抜かず・誤魔化さない」を実践しています。

長文になってしまいますが、今回は、参加者の方が「感想」として記載していただいたものも、記させていただきます。

 

「本日初めて来店しました。家内から、そばの食べ比べが出来るよと誘われて、安易な気持ちで来ました。ご主人の話を伺い、とってもショックを受けました。自分ではそば好きを自負してきましたが、新蕎麦の神話が大きく崩れました。先入観にとらわれず、自分が美味しいと感じるものを食して行きたいと強く感じました。今晩は本当にありがとうございました。65歳にして初めて開眼したようです」と感想に残してもらいました。


これは、回答書の記入欄に書いていただいたものなので、何番が新で、何番が古古蕎麦…と発表する前に記載していただいたものです。
因みに、この方の一番口に合ったそばは、古古そばの番号でした。
古古そばと予想した回答は、当店でいつも提供している3種類の産地の混合のそば(古そば)でした。

もうひとり、です。
「1番目は、そばの香りがとっても良く、噛むと甘みを感じる。最も好きなソバでした(※実は、1番目は「古古そば」でした)。2番目は、香りが無く、古古そばではないかと思われました。(※実は、これが新蕎麦でした)3番目は、香りに雑味があり、うどんこの様な臭いが好きではありませんでした(うどん粉臭?。実は、この日準備したそば粉は15㎏。この量を打つのです…。最初に打ち始めたのが、3種混合の古蕎麦でした。熟成香が出始めていたのかも知れませんね。凄い!)。」

この方の大きな間違いは、新蕎麦と古古蕎麦が逆転しているところでした。
46歳の若さで亡くなったそば通・「ソ連」を主宰され、無類のそば好き・江戸風俗研究家の杉浦日名子さんを思い出しました。
彼女は「新蕎麦は、香りが少なく、趣が無い」と。
新蕎麦をこう言われた方、杉浦さんが初めてで、すごく興味がありました。
自分で製粉してみてわかりました。
新蕎麦は水分含有率が高いので、石臼製粉すると歩留りが悪くなります。
特に、坂祝産ソバは、穀物検査ギリギリの16%仕立てでお願いしています。
つまり、甘皮(種皮)部分の水分含有が高いので、これが粉になりにくく、香り成分が乏しくしくなります。
そういう意味では、この方は新蕎麦を当てておられましたが、新蕎麦に対する期待感が強いので、真逆に間違えてしまわれたのです。
良い新蕎麦を使った美味しいそばは、そばの香りは少なくなりますが、江戸そば流にそばを楽しむ「のどごし」の良さは、最高に満たしています。
食べ比べてみると、新蕎麦、古蕎麦、古古蕎麦の味を、口で覚える良い機会となったのでは…と振り返っています。

最後に、古古蕎麦が一番美味しかったので、お代わりにこれをオーダーしたと言う方が、会の終了後「最初のそばとアンコールオーダーしたそばが全く別物だった?。あれは、違うものでしたでしょ?」と質問されました。

実は…。
お変わり用は、大変出来の悪いものを出していたのです。
そばの出来の良さと悪さまで、食べ比べていただけましたね…とお詫びしました。
前述しましたが、この日の最高の出来(そば打ちの結果)は、2番目に提供した新そばでした。
同じ年度のそばでも味が違ったと言って下さった方、そして、新蕎麦が、そばらしい味わいが一番薄くなるにもかかわらず、出来できが良かったことで、これが2番目に美味しいとなった今回の経験、そば打ちを始めて30年を超えましたが、初心に戻る良い機会となりました。

心からお礼申し上げます・ありがとうございます。
そばDa迷人拝

夢とそばを楽しむ会

Meeting to enjoy dreams & soba

そばで日本を健康に!&日本を真の先進国に!と楽しい夢を見る会です。
会長さんや会計さん…お偉いさんは存在しません。いるのはそばの里深萱ふ~どのオヤジ・そばDa迷人が務める“用務員”さんだけ。
とにかく楽しい夢を描きましょう。