そば好きを一人でも多く作りたい!を目標とし、「手打ち」を強調せず、「新そば」なるPRを行わず、最大の繁忙期(年越しそば営業)はやらない!を決め込んで、そば屋のオヤジになったそばDa迷人は、有り難い事に、光輝幸齢者となった年を・・・穏やかに終えようとしています。
1年間、有り難うございました。
あれ!・?、厳寒の季節の真そば流の始まりである年末年始は、1年分の玄蕎麦(蕎麦の実)の再調整作業のはずでは?。
これが、本日・大晦日の天気予報が終日曇りとなったので、万一雨が降って、蕎麦の実や3台の機械が濡れては大変っと、外作業は明日・元旦(晴れ時々曇り予報)に延ばした訳です。
チョット余談ですが、新型コロナ禍前までは、大晦日は営業しない!と決めていたそばDa迷人は、開店の時に、近くのお寺さんから除夜の鐘を撞きに来た人に年越しそばを振る舞ってくれない?との有り難い依頼に応えていました。
20余年続きましたが、残念ながらコロナが潰して行きました。
さて、終日曇りの予報に変わった大晦日は、ノンビリと明けました。
先ずは1日1食の「蕎麦食」・定休日恒例のガレットです。
友人の奥様の無農薬有機栽培野菜が一杯乗って・・・メチャ美味しい〜です。
定番のガレットとは違うでしょ?・!、チャーボーの工夫で、外側がパリッとして純米大吟醸の酒粕とチーズの旨味が口の中で広がり、焼きトマトが酸味を発揮しています。
最高のガレットで・幸せな・ひとときです。
チャーボーがスマホのシャッターを押したガレットにそばDa迷人も。
(いやぁ・・・写真は隠せませんね・立派な光輝幸齢者)
さぁ、店に行って、真そば流の家の中で行う厳寒の冬の作業開始です。
昨日の農業倉庫前の外仕事で、2台の機械を使った再石抜きと精米が出来無くなった循環式精米機で玄蕎麦を粗めに磨いたものの二次・最終調整(仕上げ磨きと異物取り)です。
奥の機械が蕎麦専用の最終磨き機(ブラッシング)
1袋に約2時間かけて
何と言っても大変なのは、玄蕎麦1袋(22.5kg)を約2時間かけての最終磨きです。
年間必要量は100袋に及びますので・・・その時間は200時間です。
次は、2台の篩いを使って、目視による異物の最終除去です。
昨日の外作業での異物除去は、石など蕎麦より比重の重い物を取り除きましたが、この最終調整では、篩いを使い・目視で軽い物を手で取り除きます。
篩いの上では、比重の違う物は動きが異なり、蕎麦の実と違う物を取り除くのです。
こんな作業が必要!?、一応、完成品として収められているので、殆ど混入していませんが、やっぱり・・・未だあるんです。
これが・・・そばを黒く(不味くも)する原因ですから、真そば流は、これを徹底的に取り除きます(この機械があったらなぁ~と、この時期・いつも一人嘆いています)。
この作業を厳寒の時期に限るのは、気温が冷蔵庫(穀物用)の温度を超えてくると、冷蔵庫から出した蕎麦の実はつゆぶきます。
蕎麦は、少しでも水分を感じると、14℃以上の環境下で一斉に発芽体制に入ります。
又、ソバは例え0℃でも発芽するものがあるとの研究結果ですが、少しでも実の変化を少なくして作業したいという思いで、この作業を厳寒の季節に限定して行っています。
そんな訳で・・・暮れからお正月迄位が外作業(一次磨き)ですが、室内に持ち込んだ最終調整(二次磨き)は、今から毎年4月頃まで続きます。
この一連の作業、袋の重さを加えると23kg有り、何度も何度も持ち上げて・担いで・移動して・・・作業毎に4台の専用冷蔵庫に積んでは下ろし・積み直し・・・が欠かせません。
あと5年出来るだろうか?・90歳は無理だろうなぁ???なんて今(75歳)は力んでいます。
さてさて、大分見えてきましたね・60年以上前にそばDa迷人が食べて嫌いになったそばの色は黒でした。
今も、そばと言えば黒い物!と思い込んでいる方が多いのが現実です。
うどんは白、ラーメンは黄色、そばは黒が常説なのは・・・残念な限りです。
余談ですが、さぬきうどんで有名な、香川県にうどんを食べに行きました。
予断中の余談ですが、その時、木下製粉株式会社の社長さんに大変お世話になりました。
木下製粉さんが納品されていた「さぬきの夢2000(あの頃の名)」・今は「さぬきの夢2023」と改良を重ねている様ですが、あのうどん専用小麦10割のうどんは・・・本当に美味しかった~!の思が消えません。
あっ・否、本題に戻して、美味しいうどんは白では無く薄黄色だったんです。
美味しいうどんは、小麦の味が感じられる黄色、ラーメンも黄色ですが、この黄色は小麦の色では無く腰を出すために使う・かん水の色です。
そばも・・・あの黒は、素材である実の色では無く、実に混入する異物や外皮に付着する汚れの色なのです。
多くの方が、未だに、蕎麦が黒いのは外皮の色だと思っておられる様なので、製麺会社は逆に、そば(茹でた麺)を黒くするために色んな工夫をしています。
又、外皮の付いたまま投入する石臼製粉では、外皮は細かい粒になっても粉にはなりません。
そうなんです・・・そばを黒くしてしまうものは、この外皮が粉になったものでは無く、外皮に付いたゴミ(主にヘタの部分付いている。ヘタも残っていると・・・これは粉になります)だったんです。
収穫時の蕎麦の実・これじゃあ・そばが真っ黒は、誰でも想像できますよね。
汚れと赤丸は「ガク・ヘタ」
日本中のそばを美味しく変えた「江戸そば」は、この黒いそばを「(主に田舎そばは)ゴミを食べさせる!」と嫌って、先ずは製粉方法を変えました。
次に、ゴミが付着している外皮を取り除く機械(技術も)を開発しました。
これによって、江戸そばは、田舎そばと一線を画し、白くなって行きました。
余談ですが、「更科蕎麦」の色は別物ですよ。これについては、又、機会を作ります。
これで、日本中のそばが黒では無く(白に)なった訳ですが、スーパーやコンビニ等に並ぶテイクアウト麺は・・・未だ未だわざわざ黒くしてそば感を演出しています。
ここでは、その黒色を付ける技は割愛です。
それより、そばDa迷人の真そば流のそばは、昔ながらの所謂・挽きぐるみ(外皮毎石臼に投入)ですが、黒くありません(今言う「更科そば」とも違って・白くもありません)。
例えるならうどんの美味しい薄黄色?・白くて透明感のあるそばに仕立てたい・・・と製粉にも取組んでいます。
玄蕎麦の再調整時の風景とそばを黒くするヘタ部分のゴミ
一次磨きには、廃棄処分された循環式精米機を使います。
これが・・・
セメントの上に溜まった・そばを黒くするゴミ
粉になった土が正体です。
来年は・・・光輝幸齢者2年目・76歳になります。
開店当初は、70になったら悠々自適な老後を・・・と、そば屋は止めていたはずでしたが、逆に70過ぎて・・・体力の減退を肌で感じるようになり、これではイカン!と思う様になりました。
運動をしても、もう筋肉を付ける体力向上とはならなくなりましたが、身体を動かす事以外、体力の維持・老化防止の方法無し!と目覚めました。
加えて、日本を真の先進国にしたい!っと老い先短いのに考えるようになりました。
被爆国の日本が存在感を示さないと・・・世界に平和は訪れません。
世界の先進国、残念ながら日本には法律に守られた定年退職制度があり、これは確実に年齢差別で有り、差別が存在する以上先進国として肩を並べられない恥ずべき事!と考えています。
加えて、これが実現して可能となる高齢者のやる気(働ける間は身体を動かす)は、世界一の長寿国を真の長寿国・健康寿命を平均寿命まで引上げる事になると信じて、例え孤独で小さな提言・実践であっても、身体の動く間は、そば屋のオヤジ・女将として、そば好きを一人でも多く作って行く事を目標として燃えて行きます。
全くヘンテコリンなそば屋のオヤジ(本人は、歳を取っても夢は大きい!と確信しています)ですが、来たる年もどうぞ宜しくお願いします。
顔晴りま~す。
令和6年(2024)大晦日
そばDa迷人(そばだめいと)