早いもので、家を出て4日目・旅の折り返し点に入りました。
フェリーで九州に渡った(宇和島フェリー・八幡浜港から別府港へ)この日が、今回の旅・そば喰い旅行のメイン企画です。
目指すは、大分県豊後高田市のポツンと1軒屋に近い環境でそば屋をやっている柗嵜知也さんの店・「そば六郷(りくごう)」さんを目指します。
えっ!これがそば屋?・そば六郷(りくごう)
よくもまあ・こんな場所・建物を選んだものです。
(そば六郷さんのFacebookより借用・以下2点有ります)
柗嵜さんは、新型コロナの5類以降が決まっていた昨年(令和5年)3月26日に、そばの里深萱ふ~どに来て下さいました。
会ったのは初めてですが、出会いはこの日では無く遡ります。
その2年前・令和3年の1月にお事でした。
その時打っていたそばの味に満足出来ずに色んな事を試していると言う事で、蕎麦の実を一旦冷凍して石臼にかけたい・・・と書いて有りました。
全く知ら無い方でしたが、「冷凍した物を外に出すと表面が露ぶく。ソバはどんな植物より早く芽を出す事からほんの少しの水分を感じただけで酵素が働きだして発芽行動が始まる。発芽そばを目指すならそれでいいが、蕎麦の実は通常の冷蔵保管でも冷やし過ぎない注意が必要です・・・」とアドバイスした事がキッカケでした。
その後、もの凄い勢いで質問が相次ぎました。
純粋さに打たれ、一つ一つ丁寧に答えました。
当時の松嵜さんのFacebookです。
そると・・・そばの味が自分でもガラリと変わったと感じられ、お客様の評判も美味くなったと言って貰える様になった・・・と。
功を奏して美味しくなった理由だとして「そばのイメージは黒い色だが、手を掛けた美味しいそばは黒い色をしていない。あの黒い色は、かって日本中のそばの味を革命的に美味しく変えた江戸そば流が『田舎そばはゴミを食べさせている』と言って嫌い、当初は磨きに力を入れ、その次は、製粉時の挽き方を変えてそばの皮を剥く工程を取り入れていた。今では、更に綺麗にするために、剥き実と言って蕎麦殻を先ず取り除いて製粉するスタイルとなっている。ボクは、この味に満足できないので、昔から『魔物が住む』と言われている玄蕎麦(外皮の付いたままの実)のまま石臼に投入して最高に美味しいそば(色はどちらかと言えば白い)を作って行くのがそばDa迷人が開発している真そば流です」と力説しました。
この時既に江戸そばと違って、蕎麦粉10割で打っておられたので、真そばは蕎麦粉10割が基本である事には触れませんでした。
大変だったと思います・・・磨きに必要な道具等、新調して取組んで下さいました。
そして、食べ物の味は素材の持ち味を引き出す事が一番大切なので、町おこしも大事な事(豊後高田市はソバ栽培にも力を入れて手打ちそばを振興中)だが、自分の気に入った味を醸し出すには、それに合った玄蕎麦を見つける事が大切(豊後高田のソバでは無いかも知れない)!と話しました。
更に、学ぶべき先人として、4台の石臼を駆使して蕎麦の実に合わせて挽く石臼と挽き方を決めて、その蕎麦の実の持ち味を最大限引き出しているそば屋さん(「きぬたや」・山中さん)を紹介しました。
嬉しかったのは、きぬたやさんが「未だこちらが教えるところまで到達していませんよ」と謙遜的でしたが「若い人が一生懸命なら・・・」と引き受けて下さった事です。
柗嵜さんが我が店に来てくれた時も、先ず上京してきぬたやさんに行き、翌日、当方にも来てくれました。
その時彼は・・・「出て来て良かった。きぬたやさんのそばに驚きでした。長谷川さんのそばも同じ味がしている。どうしてこんなに綺麗で香が有ってモッチリして甘いのか・・・?」と。
?・?・?。
「きぬたやさんのそばとボクのそばは美味しいは一緒でも味は違うでしょ?。きぬたやさんのそばは甘くてモッチリだが、ボクのそばは、甘さは目指しているけどモッチリよりシャッキリを感じませんか。真そば流の目指すそばの味は、モッチリは基本で『しなやかでシャッキリとしたそば』に仕上げて・・・」と説明しました。
でも、「モッチリ」と「シャッキリ」これは・・・好みの問題です。
今回、六郷さんに食べさせて貰ったそばも、モッチリと甘い蕎麦でした。
そばDa迷人流に言えば「江戸そばの最高の味」です。
彼は、料理の腕と魚や他素材の善し悪しを見極める目のを持つそば屋さんです。
料理を中心として提供して、モッチリとして甘い、他店で簡単には味わう事の出来ないそば味が際立ったら・・・これこそ、世界遺産となった和食を代表する健康機能食品・蕎麦を生かす事の出来る・これからのスタイルのそば屋さんになれるよ!と話しました。
最初に出て来た・からすみそば。腕前は上々・モッチリして甘い!。
基本・料理の写真は撮りませんが・・・この日は、つい・パチリ。
今、日本中でただ一人、かって日本中のそばの味を革命的に美味しく変えた江戸そば流として味あわせて貰ったとしたら、とても美味しいそば・・・は間違いありませんが、そばDa迷人が進める真そば流の味として評価させて貰うと・・・残念ですが未だ未だ合格点ではありません。
若い松嵜さんのこれからの課題は、2台の電動石臼(装置も石も同じ物)を使っているそばDa迷人とは違って、手挽きの石臼でやり続けたいとの事だったので、先出のきぬたやさんの様に、この蕎麦の実は、どの石臼(違う石臼を少なくとも2台に増設)で、どんな挽き方をしたら最高の味を醸し出す事ができるか?を極める事。突き詰めて言うと、この蕎麦の実は・この石臼を使って・この挽き方をしたら・こう言う味になる!と言う確信が持てるまで経験を積む必要があると感じました。
顔晴れ~(真そば流も、今後も出来る支援はします)。
七つ星搭乗中に改装された店内(借用写真)
(一挙一動が目を楽しませてくれます)
クルーズトレイン・七つ星で、手打ちそば提供を経験し、これが認められて?・「カンブリア宮殿」の取材依頼が有ったそうですが「若僧が時期尚早・・・」と丁重にお断り(本人には未確認)されているそうです。
余談ですが、取材拒否を続けてきたそばDa迷人ですが、こう言う番組だったら・・・光栄!と引き受けた事でしょう・・・。
凄い青年がいるものです。
料理・美味しい~(牛ホホ肉と根付きネギ)
厳選して出されるお酒も進みます。
松嵜さんのそばへの情熱、並々無いものがあります。
是非、変化して行くそばの味を確かめに・・・ポツンと一軒家並みのそば屋さんに足を伸ばしてみて下さい。
そば打ち室に手挽きの石臼も(借用写真)
自分の口で、彼のそばの味と料理を・・・満足、請け合います。
これからのそば界を背負って立つ一人でしょう。
さてさて大満足した今夜の宿は・・・柗嵜さんに勧めて貰った・こちらも古民家。
玄関を出て、集落の方に向かって歩いて10分程の所に有る「美薬膳堂」さんです。
普通の古民家・宿泊施設?です。
何の看板も無い・宿泊施設であるとしたら、何とも変わった施設です。
ホームページに、住所も電話番号も無い!?・不思議・不思議・・・。
チェックイン後、翌朝の予約?・選択?(台湾茶か薬膳かの実演講習のどちらかを選択)で感動でした。
この感動は、日が開けて・移動日の朝となりますので、「冬休み・蕎麦喰い旅行記(その5)」に詳しく記します。
ご期待下さい。
そばDa迷人(そばだめいと)