春は・・・旬の食べ物が多く出回ってきます。
その中で、竹の子、特に一番最初に出回る孟宗竹は、大型で肉厚で柔らかくてえぐみが少ないため好んで食べられています。
我が家では・・・未だ未だ父が元気だった頃(今から半世紀ほど前)は、父の出身地(洞戸村:現関市洞戸)まで、掘り起こしに行くのが春の恒例でした。
少なくともそば屋のオヤジになって・・・20年余、一度も出掛けていません。
思い出もあって・・・竹の子恋しさが、この季節には募ります。
が・しかし、自分の山(杉林に孟宗竹が侵入)で、食べきれないほど(事実、収穫に出掛けていたときは、近所に配っていました)収穫していたので・・・買ってまで食べる物ではない!が染みついています。
未だ、竹の子の旬は始まったばかりですが、今年は食べられるかなぁ・・・と思い始めていたときです。
朝、店に着くと、裏口に見覚えのない袋が有り、竹の子が!。
ありゃ~こんな事してくれるのは・・・とスマホを手にすると「おはよーございます。裏にビニール袋に少し竹の子を置いときました。昨夜貰って、お裾分けを今朝ー・・・」とメッセージです。
お尋ね予定で開いたアプリに、お礼に変えたメッセージを打ち、早速、皮を剥いてあく取りです。
ここら当りの竹の子のあく抜きは、米ぬかが一般的です。
孟宗竹の竹の子が好まれるのは、えぐみの少なさがあるので、失敗しても食べられるさ!と、そば屋ですから、ここはそば屋らしいあく抜きでやることにしました。
筍のあくを・蕎麦粉で取りました。
と言っても、流石に、本日打つ粉は使えません。
お菓子等に・・・と試し挽きしておいた4番粉を冷凍庫から出してきて・・・。
チャーボー曰く「チョット色の黒い粉だね。あんまり細かいと、粉が入っちゃって洗ってもなかなか取れんで大変やよ」と。
「ジャ、無しで行く?」
「う・う・う~ん、やるよ」と。
結果は・・・「マーチン(そばDa迷人の事)、メチャメチャ良いよ。筍がスッゴイ柔らかくなってる」と。
今夜は、最高の筍ご飯がいただけそうです。
蕎麦粉であく取りをしたそば屋の筍ご飯(手前用)、大成功の様です。
試してみたい・・・とご希望の方、取りに来て下さることを前提に、連絡をいただければ準備しておきます。
美味しいそばにしたいから・・・と粉を挽いていると、使わない部分が沢山あります。
もっとも、スーパー等で売ってる蕎麦粉でも大丈夫だとは思いますが・・・。
そばの里深萱ふ~どの竹の子のあく取り用蕎麦粉は、国産蕎麦の甘皮(粉糠と同じ様な)部分です。
ともあれ・・・今夜は、待望の筍ご飯を頂きます。
大きな具が一杯の筍ご飯
亡き父は、母の作る「鰹のしん節入りが好物。
そばDa迷人は、愛する妻・チャーボーの作るこのシーチキン入りが大好きです。
そばDa迷人拝
(参考)
《平成27年度大会(一社)日本調理科学会HPより》
文献調査の結果、日本でのあく抜き法として、何も添加せずにゆでる「湯煮」が長く行われてきたが、明治末期には婦人総合誌に米ぬかを用いた方法が記載されていた。また、アジアの国々においても「水でゆでる」「塩水でゆでる」が多かった。収穫後時間の経過したものはあく抜きが必要となるが、官能評価の結果、いずれの方法においてもえぐ味の強さに差は認められなかったが、色の好みおよび硬さについて有意差が認められ、重曹を用いた試料での褐色化および組織の軟化によるものと考えられた。米ぬかを含めていずれの方法によってもあく抜きが可能であることが示唆された。