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坂祝産・新そば10割を食べる・時・開催。

10割の坂祝(さかほぎ)産新ソバを食べる・・を開催します。
通常営業は、3県の産地混合で製粉していますが、12月20日(水)~24日(日)迄の5日間、坂祝産新そば・で・ご提供させていただきます。
通常営業の時間(11:30~14:00)です。


今年は・・・強い雨と風で一部倒伏でしたが
マズマズの収量でした。

坂祝町深萱でのソバ刈取りが終わり、12月に入って、素材の味を最大限引き出せるように・・・と、ただ今、再調整(3度の石抜きと何度も・何度も重ねる磨き作業)中です。


たった10袋で、蕎麦の実に着いた「ヘタ」がこんなに!。
この作業をしないと・・・そばが黒くなる原因です。

さてさて・・・世界を震撼させた新型コロナ騒動でしたが、やっと平生を取り戻すべく施策実施となってきました。
坂祝産新ソバは、この騒動の前までは、年に一度だけ「新旧の坂祝産ソバの食べ比べ」と言う形で、夜に、食べ比べ会を開催してきましたが・・・そばDa迷人にも加齢の波が押し寄せて来ました。
それでなくとも、入手した材料のままでは無く、自分好みの味を引き出そうとすると、現状の昼の営業だけでも片付けや準備の時間が桁外れにかかり・・・毎朝6時50分に店に来て、帰宅はいつも20時頃です。
事業主にも・・・働き方・改革を!・嘆きです。
そんな訳で、もう若くは無い74歳、ガンバっていますが、深夜0時過ぎの帰宅は、翌日が定休日でも堪えるようになってきました。
今のスタイルでの営業を少しでも長く続けたいと考えるようになり、夜営業を完全に止める事としました。
そんな・そんな訳で、夜の「新旧・坂祝産ソバを食べ比べる会」は出来そうもありません。
代案で、昼の時間帯の会を考えてみましたが・・・営業日のお昼に組み込む事は無理なので、定休日?。
この時期の定休日は、坂祝産だけではなく、契約栽培農家さんからいただいた玄蕎麦も、坂祝産と同じように手間暇のかかる再調整を行っています(終了が4月にずれ込む年も)。
1年分の素材である玄蕎麦を、この時期に集中して全部・行います。
一応、完成品として納めてもらっていますから、殆どの場合は、こんな作業をしないで直接製粉でしょうが、それでは黒いそば!となってしまいます。


2023年坂祝産ソバ(納品時)

2023年坂祝産ソバ(一次再調整後)

2023年坂祝産ソバ(完成・二次調整後)

余談ですが、自分で石臼製粉をやっているからこそ知ることが出来た事ですが、「そばは黒いものと思われているのは、外皮と一緒に挽くからだ!」が通説ですが、「これは間違い!」と考えるようになりました。
理由(知る事の出来た現象から)は、蕎麦殻は、極端に言うと、粒にはなっても粉にはなりません。
つまり、蕎麦殻は、粗く挽いた場合は麺に交じりますが、細かく挽いた場合は、殆ど麺に混じり込む事はありません。
じゃぁ、あのそばが黒いと思われているものは?。
あれは、蕎麦殻ではなく、蕎麦の実についている「ヘタ(ガクや汚れ)」と石抜きの作業で取り切れていないゴミ・「泥の塊」の精なんです。
時には、昆虫のミイラ迄混じっている事がありますよ・・・。


製品として納めてもらった蕎麦1袋に・・・
これだけの泥の塊がありました(1次再調整での除去分)

蕎麦の持つ素材の味を最大限に引き出すには、これ等汚れとゴミを取り除く作業を自分の気の済むまでをしないと・・・真そばにはならないのです。
余談中の余談ですが、江戸そば流では、このゴミの混入したそば(黒いそば)を「ゴミが混じっている」と嫌って、外皮を剥いた実を石臼に投入するようになって行きました。
そばDa迷人は、この剥き実の蕎麦粉で打ったそばの味に満足できず、昔から「外皮と種皮の間に魔物が住む」と言われたものを感じており、徹底的に奇麗にする作業を行い・玄蕎麦のまま石臼に投入した蕎麦粉を挽いて(作り上げて)います(自家製粉はPR用では無く・見えない所で自分好みの蕎麦粉を得る手段として)。
そばの里深萱ふ~どのそばが黒いか!?・ゴミの味がするか!?、真そば流そばの味を試して欲しい・・・と願いを込めて作業を続けています(本心は、早く専用の機械が開発されて欲しい!です)。
そんな訳で、今有る機械を使ってする厳寒のこの作業期は、疑いも無く十分な老人(古希越えで平均健康寿命も通り越した)には、若者時代には無い過酷な季節なんです。
あっ・そう・そう、厳寒の時期を選ぶのは、玄蕎麦を冷蔵庫から出したり・入れたり・・・は、蕎麦の実に大きな影響を与えると考えたからで、その変化の一番少ない季節を選んで作業をしていると言う事です。

この作業の一番実を、世界中でここでしか味わう事の出来ない10割の坂祝産のソバ、多くの方が期待する新ソバとして・・・「食べ比べの会」に変えて考えた「食べる・時」なんです。
12月20日(水)~24日(日)迄は、2023年坂祝産ソバ10割でそばを打ちます。
従前の様に、新旧食べ比べとはなりませんが、新ソバの味をお楽しみ下さい。

最後に・蛇足ですが、そばDa迷人、新ソバに関する事には、色んな思いがあります。
かって、無類のそば好きで、ソビエト連邦が崩壊した年にそば仲間と「ソ連」なる会を主宰した・漫画家で江戸風俗研究家として知られる故杉浦日名子さんが「新ソバは香りが少なく妙味無い」と言っていた事に衝撃を受けた経験があります。
成る程・成る程・・・と思うのですが、理由等の詳細は別の機会に譲りましょう。
この内容を自分の口で試してもらいたくて・・・これまでの坂祝産新旧ソバの食べ比べ会は、3種類のそばをブラインド試食してもらい、口に合った順番を報告してもらう企画でした。
残念ながら、今年は、食べ比べではありませんので、坂祝産新ソバの味をお楽しみいただくだけとなります。
そう言えば・・・蛇足中の蛇足ですが、「新ソバ」、これの定義って?・何でしょう。
法律的な定めはありません。

蕎麦関係業界にあって、一番酷いのは、前年以前の古い蕎麦に一つかみの新蕎麦を混ぜて粉にして作ったものを「新そば」と言っているケースがあるんです。
新そばについて定義する法の規制が無いからです。
つまり、10割と言わない限り「新蕎麦混入で新蕎麦」としてまかり通る訳です。
こんな事じゃいけない!と立ち上がった製粉業者さんの組合があります。
そこでは、法律では無いので、申し合わせ事項として、社会の信用を得ようとしています。
これが・・・そばDa迷人には????????やっぱり不可解です。
内容は、「収穫後2か月以内の蕎麦の実を製粉した蕎麦粉で、せめて5割(半分以上)は今年の蕎麦を使った物を『新蕎麦』と表示しよう」と言う申し合わせです。
これでも欺いていませんか!・?・。
ボクが騙され易いからでしょうか?「新蕎麦」と聞けば、イメージは10割新蕎麦となっています。
残念ながら、この業界では「10割新蕎麦」と言わない限り、古い蕎麦が混入している事になります・・・ね。
しかし、「安心してください・はいてます」、あれ?、では無く、「安心してください、・そばはコメと違います!」。
コメは、ご飯になると確実に新米に軍配が上がりますが、蕎麦の場合は好みが分かれます。
余談ですが、そばDa迷人が小麦粉を使う(粗挽き用のつなぎに1割程度)時は、製粉間近な粉は小麦の味が強すぎるので暫く冷蔵庫で寝かします。

閑話休題。
同じ銘柄の新旧蕎麦を、同じ製粉方法をして、ブラインドで食べて、好みを試してみると・・・例えば、そばの里深萱ふ~どで行った食べ比べ試食会では、殆どの方が古々そばの方が好み!と出るなどから、一般的な新そば行動の浅はかさに気付いて下さるものと考えています。
古くなって行く玄蕎麦の劣化を遅らせる・穀物専用の保冷庫、本当にありがたい開発です。
近頃は、冷蔵庫の無かった時代には考えられなかった「熟成」とか「エイジング」と言い、冷蔵庫で寝かした蕎麦を使ったそばを売りものにするそば屋さんが出てくるほどになりました。
これに関してそばDa迷人は、売りものにしないで・・・良いと思った事は黙ってやれ!と思ってしまいます。
「新ソバ」・「熟成」・・・はたまた「手打ち」・「10割」・「手刈り」等々の誇張は、宣伝行為以外何ものでも無い!と思っています。
・新ソバが美味しい理由は?!。
・熟成やエイジングで美味しくなると考える理由は?!。
・手打ちが味で機械製麺に勝る理由は?!。
・江戸そばは、二八が美味しいと言うのに10割の美味しい理由は?!。
・手刈りって、本当に美味しいの?!(因みに、開店早々の頃に手刈り天日干しの蕎麦を貰っていましたが、お断りしました)。
この理由を、食べて確かめるという実験で一つ一つ明確にして行く(そして白黒つけて行く)と・・・通説とは違った・かなり面白い答えが出て来ます。
古い(前年・前々年)蕎麦と新蕎麦には、そばになった時の味の違いはありますが・・・それが果たして、新蕎麦を全員が美味しいと感じるのか!?。
今回は、せっかくの機会なのに食べ比べで無い・・・と、少し気が引けていますが、先ずは、世界中でそばの里深萱ふ~どでしか味わえない坂祝産10割の新蕎麦の味をお楽しみください。
終了後(期間経過後)は、いつもの「真そば」の味に・・・戻させて頂きます。

そばDa迷人(そばだめいと)